今日（米国時間3/10）、Facebookは「Topic Data」と呼ばれる新しいマーケティング情報をアメリカとイギリスで提供開始すると発表しました。
このサービスは、ソーシャルメディアデータ分析ソリューションを提供している、米 DataSift との提携によって実現したもの。Topic Dataは今後、企業にどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか！？
「Topic Data」とは
マーケッターであれば、生活者がどのように考えているのか理解したいもの。これまでは、生活者がネットでシェアするものからアイディアを得ることが多かったですが、その情報というのは一部の視点に過ぎませんよね。そこで、マーケッターにとってより有用な情報を提供するというのがFacebookの「Topic Data」です。
Facebookによると、「Topic Dataはイベント、ブランド、各種テーマ・活動などに関してFacebookのユーザーがどのように考えているかをマーケッターが知るためのもの」で、マーケッターはこれをFacebookでのマーケティングや製品のロードマップを作成するのに役立てられるといいます。
たとえばどのように使える？
■小売・流通業者の場合
ターゲット層が話題にしているアイテムからどの製品をどれだけ在庫すればいいかを知ることができます。
■メーカーの場合
生活者がそのメーカーの製品についてどのように話題にしているのか知ることにより、ブランドへの感情測定を行うことができます。また場所、言及数、関連して頻繁に用いられるキーワードなどの情報を得られます。
（ex.）ヘアケア用品を販売している企業の場合
ある話題について言及している人々の人口動態的情報を得ることができるといいます。そのため「湿気がひどくて髪の毛が広がる…」という投稿が多い日は、ヘアートリートメントの広告表示を増加させる、などに有効！というわけです。
どういうしくみ？
企業が検索項目をDataSiftに送信すると、FacebookのFirehose（全公開投稿をリアルタイムに取得できる機能）データを検索し、匿名化した分析結果を企業に返すというしくみ。結果データは数値だけでなく、要約、グラフ、他のアナリティクス・ツールによる分析なども提供されるそう。
これまでこの種のデータは3rdpartyから取得していましたが、サンプル数が少なく統計データとするのはほぼ不可能でした。しかし今後はDataSiftを通じて、3rdpartyにFacebook版Firehoseデータを分析するツールを限定的に提供していくものとみられています。
Topic Dataの有用性については、Facebookとしてもまだ検証中とのこと。当面Topic Dataを利用できるのは米・英のData Siftパートナーに限られていますが、今後は世界的に順次公開されていくとのことです。
基本はあくまでもプライバシー保護
ツイートが原則公開のTwitterとは異なり、Facebookのデータは原則プライベート。そのため、Topic Dataはプライバシーを保護することが最優先となります。Facebookの他のインサイト情報と同様、Topic Dataに使われる情報は匿名化され集計されます。マーケッターが得られるのは生のデータではなく分析・解析結果で、誰がその発言をしたのかは分からないようになっています。（企業からの要望が多かったにも関わらず、Facebookがマーケティングデータの提供開始がこれほど遅れたのは、プライバシー保護に関する懸念が大きかったためかもしれません。）
ここで重要なのは、マーケッターはTopic Dataの結果を直接広告ターゲティングに利用できるわけではないということ（広告配信が有効である可能性の高いデモグラフィックを把握するのには役立ちますが）。Facebookとしては、企業が単に広告出稿に役立てるだけではなく、消費者が何を望んでいるかを知り、そこから製品を開発するというような積極的な利用を期待しています。
まとめ
もし企業にとってTopic Dataの情報が有用である認められれば、Facebookへの広告出稿量が増えることが予想されます。またFacebookが期待するように、Facebook上のホットトピックスやユーザーの感情分析から製品が誕生するようになると、さらに話題性が高まりおもしろそうですね（企業には開発スピードが求められますが）。Twitterのリアルタイム分析とはまた違う可能性が広がりそうなTopic Data、日本での展開時期は未定ですが今後に期待です。
参照
Facebook for Buisiness "Topic Data: Learn What Matters to Your Audience"
https://www.facebook.com/business/news/topic-data
TechCruch "Facebook Finally Lets Its Firehose Be Tapped For Marketing Insights Thanks To DataSift"
http://techcrunch.com/2015/03/10/facebook-topic-data/#BH3Ai2:3vTx