こんにちは!副編集長のハイジです。
社会人になると、新しい出会いといえば上司が移動してきたり、後輩が入ってきたり・・・なんてほとんどが仕事絡み。子どもの頃は、4月になるたび「次はどんな集団に属すのだろう・・・」とドキドキしたものですが、そんな胸の高鳴りから離れてしばらく経ったように感じます。
小学生の頃からオカルトや歴史が大好きで、”変わり者”だと周囲から浮いていた私にとって、最大の問題は「友だちができるか」より「どんな先生か」でした。好きなものや得意なことを、誰か一人でも身近な大人に認めてもらえるというのは安心したものです。

ということで今回は、こんな先生に出会いたかった!と感じてしまう、素敵な”先生”が登場する映画3本をご紹介します。

ロビン・ウィリアムズ主演の学校モノの傑作『いまを生きる』(1989年・アメリカ)

1959年、バーモントにある全寮制の名門進学校にやって来た新任の国語教師。彼の破天荒な授業を通して、詩の美しさや人生の素晴らしさを説く教師に惹かれていった生徒たちは、次第に規則や親の期待に縛られない、自由な生き方を望むようになる。

「素敵な”先生”がでてくる映画」といえば、まずこれでしょうか。2014年に亡くなった名優ロビン・ウィリアムズの代表作であり、今でもファンの多い作品です。物語の舞台となる初秋~冬のアメリカ・ニューイングランド地方の風景も非常に美しく、見ているだけで不思議と癒されます。

ロビン・ウィリアムズ演じる型破りな教師・キーティングは、授業初日に「教科書なんて破いてしまえ!」と生徒たちに指示し、「机の上に立って」視線を変えて世の中を見てみろ、と伝えます。そんな彼に触発され、だんだんと自分の情熱とは何なのか、に気づきはじめる生徒たち。親に反対された夢、叶わないであろう初恋、若さゆえの心の不安定・・・そんな諸々を同じように経験して大人になった今だからこそ、"自分とは何なのか"を探ろうとする生徒たちの気持ちが痛いほど分かるはず。

この映画を語るうえではずせない名台詞といえば、もちろんこれ。

Carpe diem! Seize the day, boys. Make your lives extraordinary.
(カーペ・ディエム!今日という日を生きるんだ、自分の人生をすばらしいものにするんだ)

ちょっと寒いかも?というような演出でも決して空回りした雰囲気にならず、むしろ飄々としているのに情熱的という不思議なキーティングを演じられるのは、ロビン・ウィリアムズくらいなのではと感じてしまいます。
作品で一番有名な最後のシーンは、この映画は見ていないけどここは知っている!なんて方も多いはず。キーティングとの出会いを経て生徒たちがどう変わったのかが、このワンシーンに詰まっています。ぜひご自身の目でご覧ください。

一人の教師の熱意が社会を変える『フリーダム・ライターズ』(2007年・アメリカ)

1994年、ロサンジェルス郊外のウィルソン公立高校に理想と情熱を持って赴任してきた若い国語教師・エリン。しかし、2年前のロス暴動以来激しさを増した人種間の対立から、生徒たちは人種ごとに徒党を組み、毎日が一触即発の状態。銃やドラッグがはびこり、その日を生きるのに精一杯で、誰も将来のことなど考えようともしなかった。ある日彼女は、生徒全員に日記帳を配り、何でもいいから毎日書くようにと提案する。やがて、徐々に本音を綴るようになった生徒たちは、次第にエリンに心を開き、そして自らの内面とも向き合い始めるのだった。

上記のあらすじからは想像できないかもしれませんが、この映画はなんと実話を基にしたヒューマンドラマ作品です。『ミリオンダラーベイビー』でアカデミー主演女優賞に輝いたヒラリー・スワンクが製作総指揮をとり、くわえて主演も務めています。

主人公・エリンが赴任したばかりの203番教室の生徒たちは、短気で口調も荒く、周囲の大人には見放され、まさに「アウトロー集団」といった雰囲気。ですが、そんな壊滅的な状況にもめげずに生徒たちと対話を続ける彼女のひたむきさ、そしてそんなエリンの与えてくれる暖かさに次第に生徒たちが心を開いていく様子が淡々と、ですが美しく描写されています。
私が一番好きなのは、『アンネの日記』を題材にホロコーストについて学んだ生徒たちが寄付を募り、ナチスからアンネをかくまっていたミープ・ヒースという女性を学校に招待するシーン。生徒の一人で、ギャングに仲間入りしたことから母親に家を追い出されてしまった少年が、ヒースに「あなたは僕のはじめてのヒーロー」と伝えると、彼女は「私はヒーローなんかじゃありません」と答えます。そしてこの後に続く言葉が、エリンやクラスの生徒たち、そして見る人の心にじんと響きます。

『私は人間として、しなければならなかったことをしたまでです。それが正しいことだったから。
私たちはそれぞれ普通の人間です。でも、たとえ平凡な事務員や主婦、高校生でも、それぞれが自分にできることを頑張れば、どんな暗闇にも小さな灯りをともすことができるはずよ。』

職業や年齢、人種に関係なく、いち人間として生きるうえで大切な心構えを、203番教室の生徒たちと一緒に学べる映画です。

大切なのは勉強だけじゃない!ロック精神あふれる『スクール・オブ・ロック』 (2003年・アメリカ)

親友であるネッドのアパートに居候し、プロのミュージシャンを目指すデューイ。しかしハイテンションな演奏が空回りしバンドをクビになり、家賃も払えず困りきっていた。ある日、ネッドあての電話に偶然出たデューイはまんまとネッドに成りすまし、名門小学校で音楽教師として働くことに。厳しい規律に従い、学校で無気力に過ごす生徒たちだったが、そんな彼らに音楽の才能を見出したデューイは、学校に内緒でロックの授業を開始する。

小学生の時に映画館で見て、「こんな先生がいたら・・・!」と心から願った映画です。主演は日本でも認知度の高い個性派コメディ俳優のジャック・ブラック。持ち前の超がつくほどのハイテンションと、「そんなにシャウトして喉は大丈夫?」というくらいの歌唱シーンが光っています。

主人公・デューイは、騒がしい性格なうえに服装もいかにもオタクっぽいし、体型も少々太めでだらしない。ですが、ニセ教師ながらも、(ロックに関しての)アツい想いを胸に子どもたちと向き合い、ある子は歌唱力、ある子はデザインセンス・・・と彼らの魅力や新しい可能性を引き出していくデューイは、たとえ教員免許を持っていなくても優秀な”指導者”なのかもしれません。気だるげに授業を受けていた子どもたちが、バンドコンテスト出場を目指し練習を重ねていく姿は、勉強の時間だけを与えられていた頃とは違い前向きなパワーにあふれています。
また作中には、自身もロックバンドのメンバーであるブラックの趣味もあり、AC/DC、レッド・ツェッペリン、ピンク・フロイドなど有名ロックバンドの名曲がたくさんちりばめられています。キャストの子どもたちも本物のミュージシャンなので演奏のクオリティが非常に高く、ライブシーンは映画であることを忘れてしまうほどの迫力!出演者からスタッフまで、「本当にロックが好きなんだな」と見ていて感じる、愛のこもった楽しい作品に仕上がっています。
頭にガツンとくるロックの名曲と一緒に、明るく爽快な気分になりたいときにおすすめ!

以上、素敵な“先生”が登場する映画3選でした。
人を奮起させ、勇気づけ、時には新しい道を示す・・・家族や友だちとの関わりの中でも出会うそんな場面には、この3本の映画の風変わりな先生たちがアドバイスをくれるかもしれませんね。

では、またいつかお会いしましょう!

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