「記事なのか広告なのか分からない」などの批判が出ているインターネット上の「ネイティブ広告(アド)」について、業界関係者で組織する一般社団法人インターネット広告推進協議会(JIAA)は3月18日、 「ネイティブ広告における推奨規定」 を公開。「広告表記」「広告主体者の明示」「広告審査」に関する規定が策定されました。
ネイティブ広告の定義
JIAAによるネイティブ広告の定義は 「デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告」 。
その形式や機能が、媒体社やプラットフォーマーが提供する記事やコンテンツと一体感があるという特徴から、ユーザーに受け入れられやすいと期待されています。
ネイティブ広告の問題点
上記のような特徴がある一方、掲載方法や内容によっては、消費者が騙されたと感じやすいという課題が指摘されています。
昨年8月にJIAA内に設けられたネイティブアド研究会では、業界が守るべき表記ルールや広告審査のあり方などを協議してきました。今年2月、15~69歳の男女計2000人を対象に実施した意識調査では、ネイティブ広告を広告だと認識した人のうち7割近くが「スポンサーがついている記事や動画であることを誰にでも分かるように明記すべきだ」と答えています。
アメリカでは、「ニューヨーク・タイムズ」や老舗オピニオン誌「アトランティック」がネイティブ広告を導入した際、読者から批判を浴びて「炎上」したという事例も。
このような不信感は、ネイティブ広告のあり方に起因すると考えられています。
「ネイティブ広告における推奨規定」その内容は?
「広告表記」「広告主体者の明示」「広告審査」に関する規定が、広告の掲載形式別に詳細に示されました。
■ネイティブ広告掲載・配信事業者に対して
今回策定された規定に沿って、「広告表記」および「広告主体者」を必ず表示をするよう呼びかけています。
(「広告枠内に『広告』『PR』『AD』などを表記する。文字の大きさや色、位置など分かりやすくする」など)
※具体的に明示する内容や方法は、各媒体社などの判断に委ねるとしています。
またネイティブ広告の掲載にあたって、ユーザーに不利益、不安、不信感を与えることのないよう、媒体各社が独自に定める広告掲載基準により必ず広告審査を実施するよう伝えています。
■広告配信事業社に対して
「自社の基準に基づいて掲載可否を判断し、基準に適合しない広告は配信を停止する」「事前審査が難しい場合、事後に掲載基準に適合しないことが判明した場合は、速やかに是正措置をとる」など、広告掲載の適正化に努めるよう呼びかけています。
参照
一般社団法人インターネット広告推進協議会(JIAA): http://www.jiaa.org/index.html
JIAA「ネイティブ広告における推奨規定」: http://www.jiaa.org/download/JIAA_nativead_rule.pdf